第2回
東京都オープンデータ・ラウンドテーブル
議事録

東京都オープンデータ・ラウンドテーブル
議事録

令和3年10月20日(水)
第一本庁舎7階 中会議室
オンライン併用
事務局(荻原部長):

第二回東京都オープンデータ・ラウンドテーブルを開始いたします。

皆さま、本日はよろしくお願いします。

本日の進め方についてですが、画面操作は事務局側で行いますので、ご発表頂く皆さまは、スライド送りの指示を頂ければと思います。

では早速、デジタルサービス局データ利活用担当部長の高橋から、オープンデータの取組状況についてご説明いたします。

データ利活用担当部長(高橋部長):

東京都デジタルサービス局データ利活用担当部長の高橋葉夏でございます。

本日は庁内各局だけでなく、区市町村の皆様にも、たくさんご参加いただきありがとうございます。

私の方からは、東京都のオープンデータの取組状況について、簡単にご報告させていただきます。

東京都は、昨年9月に構造改革推進チームを立ち上げ、都政の構造改革全体を先導し、強力に推進するために最優先に取り組むプロジェクトとしてオープンデータ活用プロジェクトを選定いたしました。当プロジェクトは、行政が保有するデータを積極的に公開し、シビックテックや民間企業などによる、新たなサービス開発を促し、都民の暮らしに役立つサービスを構築する環境を構築することを目的としています。

まず一つ目、民間ニーズを踏まえたデータを積極的に公開することです。

本年2月にデータを希望する民間企業などからニーズを把握することを目的に、オープンデータ・ラウンドテーブを初めて開催させていただきました。

都営地下鉄エレベーターの点検情報について、機械判読性が高い形式で提供して欲しいとのご要望をいただきまして、機械判読性の高いCSV形式でオープンデータとして公開いたしました。

また、観光に関する統計データや、東京都中央卸売市場の市場日報の販売実績や卸売予定数量などを公開して欲しいというご要望に基づきまして、こちらも機械判断可能な形式に変換した上で、オープンデータとして公開しました。

ラウンドテーブルの開催を通じまして、民間ニーズを踏まえたデータの公開を実現しております。

データの利活用しやすい環境として、オープンデータカタログサイトの利活用を促進するため、本年6月末にオープンデータカタログサイトへ新着情報やオープンデータ利活用事例を掲載しました。

オープンデータを活用した、府中バリアフリートイレマップや広報東京都をアプリで閲覧できるマイ広報誌等、現在6つの利活用事例を掲載しております。

また、第一回オープンデータ・ラウンドテーブルの際に、「ポータルサイトは検索しづらい」や、「このサイトをもっと知ってもらうべき」等のご意見を頂きまして、今年度、オープンデータカタログサイトの大幅なリニューアルを実施する予定です。

また、こちらの資料にもありますとおり、情報発信の強化にも取り組んでおります。

オープンデータの推進を、より多くの方に知ってもらうため、noteやtwitterできめ細かく情報発信をしております。

ぜひ、東京都デジタル局のtwitterをフォローしていただければと思います。

今後もオープンデータを活用した事例の追加掲載など、コンテンツを充実させまして、PRをより強化してまいります。

また、オープンデータへの取り組みに対する職員の知識向上のために、本年8月にベースレジストリーに関する講義をデジタル庁平本様に講師を務めていただき、開催いたしました。

これらの取り組みを通じまして、オープンデータを活用した、新たなサービスが創出される環境を整備していきたいと考えております。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

では、早速第2回目のラウンドテーブルを開催したいと思います。

本日ご参加の皆さまにご協力いただき、良いラウンドテーブルの場を作っていきたいと思いますので、どうぞよろしく願いいたします。

それでは、アルパック社・畑中さん、YuMake社・佐藤さんから、それぞれのご提案を頂き、各局から意見を出していきたいと思っております。

最初に、株式会社地域計画建築研究所(アルパック)取締役・畑中さん、10分程度と短くて恐縮ではございますが、ご提案のほどよろしく願いいたします。

アルパック・畑中様:

ただいまご紹介に預かりました、地域計画建築研究所、通称アルパックの畑中と申します。

最初に、10分という限られた時間ではありますが、1~2分だけ自己紹介をさせていただいた上で、今回、特に資源循環の分野に限ってということで、ご提案申し上げたいと思っております。

私共、創業してかれこれ56年ぐらい経ちます。もともと大阪万博の会場計画に関わっていた京都大学の西山卯三研究室が、こういったことは大学の研究室で片手間でできるものではないという事で、西山先生が一番弟子に大学の外に組織を立ち上げさせたことがきっかけで始まり、従いまして、資本的にも独立系であり、大学の研究室の延長線上のような面もある組織です。

その後、京大元総長の奥田東懇談会の事務局として「けいはんな学研都市」の立ち上げに関わるなどしながら、「持続可能な地域づくりに貢献する」をミッションとして、シンクタンク、コンサルタント、あるいはアーキティクトとして取り組んでいる組織でございます。

100名程度の組織ですが、今でも京都が本社で、資料の通り大阪がどちらかというと多い分布になっております。

専門分野で6つのグループがあり、プロジェクトごと、問題ごとに横連携しながら活動しております。

また、従来の専門分野では、社会の色々な課題に応えられないということで、ソーシャルテクノロジーユニット、ソーシャルエンタープライズユニットと新たなユニットを発足し、私も担当役員として関わっております。

環境分野については古くから環境容量などの研究もやっておりましたが、最近は気候変動適応の国のプロジェクトで気候シナリオを使った様々なシミュレーションをやる一方で、地域のおじいちゃん、おばあちゃんと一緒に問題解決を実施する等、非常にワイドレンジな取り組みを行っている組織です。

また、私自身は、公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)の客員研究員をやっていたこともありますし、日本気候リーダーズ・パートナーシップ(Japan-CLP)や再エネ100などにも取り組んでいる組織でございます。


本題に入りまして、ご存じの通り、資源循環分野において、サーキュラーエコノミーという言葉が特にクローズアップされておりますが、これはもともと1970年代にハーマン・デイリーが提唱した持続可能な発展にかかる3つの原則を源流としたものであります。特にヨーロッパを中心に先進的に取り組まれていて、国内でも本格的に取組まなければいけない状況になってきております。

そういった中で、オープンデータの公表によって、消費行動や製品を作る側も含め、社会全体が色々な情報を共有し、それぞれが行動変容していく必要があると思います。

今日は2つ3つほど、例えばということで比較的近未来にできることをご提案させて頂きます。

1つはごみの発生量やリサイクルの状況について、もう少し細やかに地域別のデータをオープンにしていくことが必要だろうと考えます。

細かい身近な地域情報のオープン化により、市民の皆様や事業者の皆さまが、自分たちの状態を把握でき、ゴミ削減の行動にもつながると考えます。

また、政策立案等の様々なプロセスにも活かす事ができると考えます。

2つ目は、特に日本において食品ロスが多いということで様々な批判を受けております。途上国の不足分以上の食品ロスを出しているのも有名な話です。

これにつきましても、事業系の推計結果は都道府県別のレベルで出ておりますが、家庭系については地域情報がない状況にあります。一方で、色々な分野の皆様が、実態調査をされていると考えており、それらのデータをオープンにすることが、生活や事業活動の行動変容を促すと考えております。加えて、それらのデータをオープンにすることで色々な工夫を考える方が出てくるだろうと思います。都内の食品ロスデータの第1歩として、オープンデータ化できたら良いのではないかと思います。

それから、中長期的な期待ということでオマケとして提案させて頂きます。

ゴミは日々搬入や収集をされているということで、なるべくリアルタイムでデータを活用できたら良いのではと思います。

例えばエネルギーの分野において、リアルタイムのエネルギー消費量などをオープンにするデマンドレスポンスのように、リアルタイムの情報をオープンデータ化することで、行動変移を促していけると考えております。あるいは、そのデータが社会に役に立つようなビジネスに使われる話も出てくるのではないかと、期待をしております。

最後に、アイディアレベルですが、収集車にGPSをつけ、情報をオープンにするといった提案です。これは公共交通などでよく実施されている話であり、このような情報をオープンにすることによって、収集車が来る少し前にゴミを出すことで例えばカラス対策にも効果があるのではと思います。

また、空間情報についても色々な活用の可能性を秘めており、中長期的に期待できるのではないかと考えております。

様々なデータが社会で共有され、資源循環に関わる様々な社会課題解決につながることを期待しております。

短い時間ではございますが、以上でございます。

事務局(荻原部長):

畑中さん、ありがとうございます。

続きまして、佐藤さんからのご提案お願いできますでしょうか。

YuMake・佐藤様:

YuMakeの佐藤と申します。タイトルに書いているワードは弊社のキャッチコピーでして、すべてのものを気象データで繋ぐ、としています。

初めに自己紹介からさせて頂こうと思います。

私は大学院までずっと気象を勉強しており、その後、SEを経由し民間の気象会社に一回入ってはいますが、その後独立し、この会社を作っております

この他、気象の他にもシビックテック系の活動にも色々参加し、携わらせていただいております。

弊社の事業は、簡単にご紹介をさせていただくと、大きく3本柱がありまして、1つは気象データの提供です。こちらはベースにしているデータは気象庁のデータですが、これらのデータを使いやすくして提供すると言う事業が、大きく1つ目です。

もう1つが防災関係です。気象防災セミナーやコミュニティの支援を実施しております。

もう1つはシステムソリューションという形で、システムの開発関係をさせていただいております。行政系のDX事業の研修なども実施させて頂いており、少し前に東京都庁デジタルリーダーの育成研修で、弊社事業のご紹介をさせていただいております。

気象データのAPIにつきまして、気象庁のデータをベースとしておりますが、気象庁のデータも様々種類があり、これらを使いやすくした上で、提供しております。お客様のニーズに応じて、このデータを使うとニーズを満たせるのではないか等、コンサルティング的な要素も入れつつ、API提供サービスを行っております。

最近は、過去データと言うことで、AIや機械学習等の分野におけるニーズが非常に多く、過去データ一式をある一定期間でまとめてご提供し、AI学習に使っていただくと言うような事もさせていただいております。

次にIoTです。市販の気象センサーを使ったり、弊社内で内製をしたりすることで、気象データを取得するという事もやっております。最近ではカメラ撮影対応ということで、スマート農業の分野において、センサーを構築して分析まで行うということもやっております。

分析の部分について、気象データアナライザーという形で、気象データ単品ではなく、他のお客様の持っているデータと組み合わせて分析をし、こういう指標が挙げられないか、影響因子が考えられないか、というような解析をさせて頂くサービスも行っております。これによって、予測モデル構築も一緒に実施させていただいております。

次に、簡単に事例紹介をさせて頂きます。APIの活用事例ですが、ロボットが喋る元情報として、弊社のAPIをご利用いただいております。

また、ホームページのAPI利用というのが非常にわかりやすいと思っております。ホームページへの気象データ提供の事例でいうと、Ginza Sony Parkさんへの気象状況の提供や、沖縄のParco Cityさんへの日の出日の入りの時刻の提供等があります。日の入りの時刻は、夕日がきれいに見えるということで活用いただいております。

活動紹介と言う事で、もう少し私が関わっていた活動をご紹介させていただきます。国のオープンデータ推奨データセット一覧について、どういう分野の情報をオープンデータ化するか、どういったフォーマットで公開したら良いか等の検討に携わっておりました。主に、奈良県の生駒市で、給食の献立情報を使ったアプリをシビックテックで作っていた関係で、フォーマット策定のところに関わっておりました。

また、同じ環境関連で言いますと、今年度、大阪府とハルカス大学という事業にて、学生と社会との接点づくりを行う取り組みの一環で、大阪府が保有する環境のデータ活用を目的に、一般の市民さん向けに講座を開設する取り組みを行っています。特にデータの可視化や、どうやって伝えていくか、というところに重点を置いて行っています。

データの提案ですが、まず一つ目にPM2.5の過去データ及びリアルタイムデータについて提案させていただきます。本データはかなり使えるのではと言う事で、弊社のお客さんと話をしていて話題になっております。買い物や外出時にWebサイトやアプリから、当該情報を提供することで動線を引けるのでは、という話もあり、実際に弊社でAPI化することで、商品になる可能性があると感じております。

最後に一点書いておりますが、PM2.5に加えて紫外線の観測データもあったら良いと思います。

もう1つが光化学スモッグの情報になります。こちらは現在の発表状況、過去の発表履歴などが有ると良いです。これらは分析をかけることで、どういう状況で警報・注意報が発表されやすいのかわかるようになります。

特にこちらも市民側が活動、行動を行う上での参考として活用できる情報になると期待しております。

また、大気汚染物質について、こちらはデータフォーマットで出されていますが、緯度経度も併せて出して頂き、時間ごとの濃度情報とかもあると良いと考えております。

駆け足になりましたが、私のほうからは以上になります。ありがとうございました。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。それではお二方からご提案いただきました内容についての意見交換に移りたいと思います。

まず畑中さんからご提案頂きました、ごみの発生量、食品ロスの情報データの公開につきまして、環境局、資源循環推進部長からご意見をお願いいたします。

資源循環推進部長(上林山部長):

どうぞよろしくお願いします。

ご提案をいただきまして、ありがとうございました。

畑中様がおっしゃるとおり、廃棄物の抑制、排出抑制、あるいは再生資源の利用、こういったものを促進していくために、都民の皆様にデータを見える化する、と言う事は非常に重要だと思っております。

私共も、一生懸命取り組んでいるところでございます。

ご提案頂きました、ごみの発生量とリサイクル、また、食品ロスについて、簡単に現状のご報告をさせていただきます。

ごみの発生量につきまして、一般廃棄物は法律に基づいて区市町村が収集する事になっており、まず家庭から出る一般廃棄物についてご説明させて頂きますと、区市町村が年度で発生量をデータとして取っております。そのデータを東京都が取りまとめを実施し、年に一回、公表させていただいております。現状はまだPDFで公開しておりますが、これをオープンデータ化という形で提供させて頂く事が可能と考えてございます。

もう1つ、事業所から出る事業系の一般廃棄物につきまして、これは23区の特性ではありますが、清掃一部事務組合という共同処理の体制を組んでおります。この事業系の一般廃棄物の処理の仕方が、共同処理のメリットでもあり、データを取る部分に関してはデメリットなのかもしれません。実は区ごとのデータが取れておらず、区を跨いで収集して持ち込んでいることなので、区ごとのデータが取れてないという状況でございます。なので、これはデータがないため、いわゆるオープンデータを提供することが難しいというふうに考えてございます。

同様に、そのリサイクル率につきまして、家庭系の一般廃棄物と事業系の一般廃棄物、これら両方を分母にしてリサイクル率を出さなければいけないのですが、先ほど申し上げました通り、事業系について区別のものが出ておりませんので、23区全体のリサイクル率データしかないという状況でございます。

続いて、食品ロスの話ですが、お話の通り、事業系については国がデータを収集しておりまして、我々も都道府県ごとのデータを国からもらって公表させていただいております。家庭系につきましては、国も推計をしておりますが、都道府県毎は出しておりません。一方で、私共が昨年度出させていただいた東京都の食品ロス削減推進計画の中で東京都の家庭系のデータについては2017年度のデータで12.5万と言う形で数字を出させていただいております。これは毎年出していこうと考えておりますが、国が現在公表している事業系の食品ロスも推計データであり、私共も推計で出しております。また先ほど申し上げたとおり、23区については区毎のデータを出しておりませんので、23区全体として食品ロスがどれぐらいで、多摩地域に関してはこれらデータを取っている自治体と取っていない自治体があり、取っている自治体のデータ、あるいはヒアリングを通じてこれを推計していると言う状況での推計値となっております。

また、食品ロスにつきましては、まだまだ各自治体の取り組みはこれからかと思っています。

今後多くの自治体・各市町村で個別にこの食品ロスのデータを取るところが出てくると思いますので、そのような自治体が多く出てくれば、より精度の高い推定データがご提供できるかと思っております。

以上のとおりでございます。ありがとうございます。

事務局(荻原部長):

環境局から話がありましたが、畑中さんから、何かご意見などありますでしょうか。

アルパック・畑中様:

丁寧なご説明いただきましてありがとうございます。

当然、技術的な限界が御座いますので、今あるデータをそのままなるべく差し障りがない範囲でオープンにしていくことが重要だと思います。

例えば、事業系の問題については、政令都市等大都市はどこでも抱えておりますので、生データというレベルでどこまで公開できるかは分かりませんが、可能な範囲で生データを少しずつ出していくということがファーストステップかと思います。

最後に、1つだけ言い忘れておりました。

私どもは、京都大学と京都市の一般廃棄物の細組成分分析のフォーマットづくりから長く関わっており、この中で最高300種類くらいの分類をしているわけですが、担当者にとっては意味を持っているデータだと思いますが、別の主体が見ることによって、そのデータが別の分野で生きてくるというケースが結構あると考えております。

体系立ったデータは難しいと思いますが、可能な範囲でデータをオープンにすることで、他の誰かが良い使い方を見つけるかもしれません。このような活動が、社会の知を横連携で結びつけていくということに繋がるのではと思います。

ありがとうございました。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

YuMeka・佐藤様からご提案頂きました、気象情報の公開について環境改善部長にご発言頂きたく思います。

環境改善部長(筧部長):

貴重なご意見頂きまして、ありがとうございました。

当局では環境汚染対策の一環として、都内80カ所以上で、大気モニタリングを行っており、同時にそのデータを公表しております。

我々としては、データがどのように民間企業などで活用され、どういう利用価値があるのか、正直よくわかっていない部分がありましたので、本日のご提案、プレゼンをお聞きしまして、我々の収集しているデータが、例えば気象データと組み合わせることによって、小売業の販売戦略だとか、あるいは消費者の行動予測とか、色々な活用例があるのだと、改めてその価値を再認識したところでございます。

本日2点のご提案をいただきました。

1点目のPM2.5につきまして、環境局ではもともと一時間値は常に公表しておりますが、それを測定するために1分値というのも昔から測定しておりまして、これまで活用が図られてなかったのですが、この度、東京都オープンデータカタログサイトを活用してそれらを掲載していこうと、その仕組みを構築しているところでございます。

本日いただいた提案を踏まえ、更にそのデータが活用しやすいように仕組みづくりに取り組んでいきたいと思っています。

2つ目の光化学スモッグ情報について、現在はPDFで公表しておりますが、カタログサイトにて公表するにあたっては、利活用しやすい形式の方がよいというご指摘でしたので、今後はCSV形式等で公表できるように検討してまいります。

本日は貴重なご意見頂きまして、ありがとうございました。

事務局(荻原部長):

環境局からの発言について、YuMake・佐藤様、何かご意見等がございましたらお願いいたします。

YuMake・佐藤様:

ご説明いただき、ありがとうございます。

PM2.5について、実は1分値もあったということで、やはり測定されている物はどんどん公開して行くべきだと思いました。アメダスについても1分値を測定しているため、これらのデータと組み合わせることも可能ではないかと思って伺っておりました。

大阪府と取り組む中で、公開形式を悩む場面もありましたので、ぜひこれを機に、東京都に先陣を切っていただき、他自治体にもどんどん広がっていけばいいなというふうに思います。ぜひ今後ともよろしくお願いいたします。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

それではディスカッションに移りたいと思います。

まず始めに、デジタル庁の平本様、1分程度で最近のデジタル庁のデータの取り組みについてご発言頂いても宜しいでしょうか。

デジタル庁・平本様:

ご紹介いただきありがとうございます。

最近、デジタル庁は何をやっているかということですが、始まって1ヶ月であり、まだまだ方針が決まっておらず、オープンデータも含めたデータ戦略を推進しているところです。

その中でも、まずはファンダメンタルなデータを揃えようということで、事業所の住所データ等から始めております。

お話を聞いていて、非常に刺激的だったのが、環境データを含め、国ではスマートシティについて非常に力を入れて推進しており、どのようなデータを指標としたらいいのか、これらデータを使ってどのようなバリューを生み出すのか等、まさに検討しているところだったので非常に勉強になりました。

我々は、体制を作りつつ、スマートシティについて、都市全体をどのようにしていくのかという具体的な部分から、オープンデータの推進、基礎的なデータ標準の作成、それらのフレームワーク作成等、これら全般を実施している組織がデータチームです。

それ以外にも、当然、国のシステムをどうするか等も検討しておりますが、特にデータ戦略というのは、デジタル庁の柱だと思っておりますので、地方自治体様と協力しながら、国民の皆様に分かりやすいスモールサクセスを作っていきたいと模索しているところです。

以上でございます。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

渡邉先生、お待たせいたしました。

渡邉先生からは、大学教育を受けたオープンデータの活用についてご提案頂ければと思います。よろしくお願いします。

東京大学・渡邉教授:

宜しくお願いします。東京大学の渡邉です。

私自身は、10年間、東京都立大学で教員を務めておりました。

2018年から今の職に就きまして、情報デザイン、あるいはデジタルアーカイブを研究しています。

都と関係があるとしたら、「東京五輪アーカイブ1964-2020」という、64年大会の資料をビジュアライズするプロジェクトを行っており、ウェブで公開しています。興味がある方は後でご覧頂ければと思います。

最近、私の名前を報道で見たことがあるという方もいらっしゃるかも知れませんが、戦時中の白黒写真をカラー化し、Twitterで発信するという試みを行っております。これも元々はパブリックドメインの写真が多いので、オープンデータの範疇に含まれるかもしれません。

今年から東京大学の教養学部前期課程にて、データビジュアライゼーションの基礎を教えるということをやっております。教養学部ということで、文系理系問わず、情報を扱う分野ではない、全学部の学生さんを対象に行っております。4月から、オンラインにてWebのGISツールを用いることで、データのビジュアライゼーションを行う試みをしています。

特に、今年4月から5月に取り組んだものが、オープンデータを使った可視化の課題であり、成果物はすべてウェブでオープンになっていますので、これもぜひご覧ください。後ろにうっすら見えていますが、東京都のものも含むオープンデータを活用して、様々なビジュアライゼーションを行い、社会課題の解決に寄与しようという課題です。

特徴としては、先ほどお話ししたように、東京大学の教養学部一・二年生全員を対象とした授業ですので、それぞれの分野の学生さんの切り口で取り組んでくれているわけです。

特に面白かったのが、東京都のオープンデータを使いたいという学生さんが多かったということです。東京大学が東京にあるから、ということが身も蓋もない説明ですが、東京都オープンデータカタログサイトが非常に充実しているということも関係していると思います。

また、受講者を対象に、実際にオープンデータをどのように利活用したいかについて、アンケートを取りました。学生さんならではの新しい利活用のアイデアがあるのでは、と考えたからです。

最も多かった意見は、地図に仕立てる課題ということもあり、施設一覧などのデータはあるが、肝心の位置情報がわからないという意見でした。

住所が書かれていたとしても、例えばArcGIS onlineを使うと、緯度経度変換するために、お金がかかってしまいます。ジオコーディングは、やはり資産を使うのでお金が掛かるものです。オープンデータになった段階で、既に緯度経度が数値で付与されていると、使い勝手が良いということが学生と教員に共通した意見です。

さらに、防災関連情報、芸術文化、公共交通機関の所在地などのデータを公開して欲しいという意見は、これらは学生さんの生活に非常に密接に関わっている施設だからと考えます。そこで感じている課題を解決することに寄与したい、そのためにこうしたデータを公開、さらに、そこに緯度経度情報が付加されていることで、人の行動に影響を及ぼすことができる、ジオ可視化ができるということです。

オープンデータに対する要望というと非常に抽象的で手がかりがないわけです。特に経験値の無い学生さんは、彼らは入学していきなり分野を問わず基礎教育としてデータビジュアライゼーションを学んでいます。そこで一通りの作品を作ったというリアリティがある、それゆえに、非常に意味のあるリクエストが出ていると捉えていただきたいわけです。

もう1つは長期的に捉えると、東京大学の教養学部の一・二年生ということは、近未来社会の一線で活躍する人たちです。その人たちがオープンデータを利活用して社会に貢献する、あるいはオープンデータを使って可視化したコンテンツをたくさんの人に提供するという素養を持っているわけです。

この授業について、当面の間は私が担当し続けると思いますが、大学の基礎教養の場において、オープンデータを利活用するという実践を、ぜひ色々な大学で試みてほしいと思っています。

候補としては、私が元々所属していた東京都立大学の方に、都庁からもぜひアプローチしていただき、東京都立大学の学生さんの基礎教養の過程でオープンデータを使ったビジュアライゼーションやオープンデータの利活用を考える場を、カリキュラムを組み込めないか提案されたら良いではないかと思います。

以上で私のプレゼンテーションを終わります。ご清聴ありがとうございました。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

ご提案頂きました内容について、デジタルサービス局、交通局からコメント頂きたいと思います。

データ利活用担当部長(高橋部長):

デジタルサービス局の高橋でございます。

渡邉先生、大学の授業に東京都のオープンデータを活用いただきまして、本当にありがとうございます。皆様もホームページご覧になるとお分かりになられるかと思いますが、オープンデータの可視化、まさにビジュアライゼーションした、とても興味深い作品が並んでおります。以前、宮坂副知事と一緒に、作品のプレゼンを拝見させていただきました。

引き続き、オープンデータを教育の場での実践を拡大していただければと思います。

私の方から、2点について回答させていただきます。

まずは、防災関連情報です。

先日の地震で改めて痛感させられましたが、やはり防災関連のデータというのは、何よりも優先すべきだと考えております。

今年度、防災関連データのオープンデータ化を積極的に進めており、避難所・避難場所、応急給水拠点、これらを含めまして、現在、約2,300以上のデータを緯度経度情報が付与された形式で、東京都オープンデータカタログサイトに掲載させていただいております。

また、デジタルツインの3Dビューアにも掲載しておりますので、是非ご覧いただければと思います。

次に、文化施設等の情報ですが、こちらにつきましても、約250施設程度ですが、緯度経度情報を付与した形式で公開しております。こちらもぜひご活用いただければと思います。

渡邉先生にご意見いただきました点を踏まえ、今後も新たにオープンデータを公開する際には、各局とも調整しまして、緯度経度情報の付与、ジオコーディングしたデータを公開するよう徹底していきたいと考えております。私からは以上でございます。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

続きまして、交通局より駅やバス停情報につきましてご発言いただきます。本日は、議会の関係で企画担当部長の神永(かみなが)部長の代理で佐山(さやま)課長にご出席いただいております。よろしくお願いいたします。

交通局総務部技術調整担当課長(佐山課長):

本日はよろしくお願いいたします。

渡邉先生からご提案いただきました点につきまして、述べさせていただければと思います。

交通局ではお客様の利便性向上に寄与出来ますよう、都営地下鉄や都営バスをはじめとする公共交通情報のオープンデータ化を推進しているところでございます。

また、今年2月に行われました、東京都オープンデータ・ラウンドテーブルでの提案を受けまして、局のホームページで公開していました、都営地下鉄の駅のエレベーターの点検工事日程を機械判読しやすいデータ形式に変換しまして、東京都オープンデータカタログサイトにて公開しているところでございます。

今回のご提案を頂いた件でございますが、公共交通のデータにつきましては、公共交通オープンデータセンターがワンストップ窓口となっており、こちらのサイトから地下鉄の駅、バス停のデータを緯度、経度情報を付与して公開しているところでございます。

今後は、この公共交通オープンデータセンターを運営する公共交通オープンデータ協議会と連携させていただきまして、東京都オープンデータカタログサイトの方におきましても、緯度経度付きで駅とバス停のデータを公開できるように取り組ませていただき、より多くの方々にご利用いただけるようにしていきたいと考えてございます。

誰もが便利にご利用いただけるサービスが拡大し、浸透していくよう、オープンデータの取り組みを進めてまいりますので、引き続き当局のオープンデータをご利用いただけますようお願い申し上げます。

以上でございます。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

デジタルサービス局と交通局からコメントいただきましたが、渡邉先生から何かコメント等いただけますでしょうか。

東京大学・渡邉教授:

ありがとうございます。

本日はラウンドテーブルということで、たくさんの方に視聴いただいているかと思いますが、今後、頭が柔らかくて、いろんな知見や技術を吸収できる学生さんたち向けに、オープンデータの価値を伝えるイベントを開くと、良いのではないかと思います。

アーバンデータチャレンジも、どちらかというと、プロが参加するイベントのように思います。なるべく多様な分野で、将来、色々場所で活躍してくれそうな学生さんたち相手に、実はオープンデータというものがあって、これは皆さんが大学で使えるソフトウェアで自由に料理し、色々な知見をそこに見出すことができ、他の人に向けて発信することができる、ということをアピールするようなイベントやウェブサイト等を用意されると、未来に向け裾野が広がると思います。

ぜひそういう形を作っていければと思いました。

事務局(荻原部長):

ありがとうございます。

本日は時間の都合で、ここでまとめに入らせて頂こうと思います。

渡邉教授からのご提案につきまして、デジタル庁・平本様にご発言お願いできますでしょうか。

デジタル庁・平本様:

先ほどのお話を受けまして、学校の授業でやっていただけるというのは、とても良いことだと思っております。色々な大学や高専等で実施して欲しいと思いますし、まさにコンテストなど、どんどん実施できればいいかなと思っております。

東京都さんに負けないように、我々も国のデータカタログサイトを、まさに作り直すところですので、良い形で、国の基本データを出しつつ、東京都さんや区市町村のデータをかけ合わせた形で、学生さんに地元に根付いた情報等を分析して頂けると非常に面白いと思います。

先ほど渡邉先生が仰っていたように、社会人になってからこうやってデータ使えばいいのかなど、体感として伝わるというのは凄くいいことだと思っておりますので、ぜひとも機会がありましたら一緒にやらせて頂ければと思いました。

どうもありがとうございました。

事務局(荻原部長):

本日は、ご参加の皆さま、短い時間でしたがとても充実した議論ができたと思います。ありがとうございました。

最後に、閉会にあたりまして、事務局を代表して吉村政策企画局理事に総括をいただきます。

政策企画局理事(吉村理事):

本日はご参加頂きました皆様、貴重なご提案頂きまして、ありがとうございました。

私は、入都したのが30年くらい前ですが、清掃局におりまして、ごみの収集量等を見ており、確かに毎日の収集は行っているが、データとして外に公表するのは年に一回だったことを思い出しました。

我々はシン・トセイという新しい都庁を作る取組を行っており、「答えは顧客が知っている」と、宮坂副知事から言われております。データ公開についても、ニーズがあるのかをしっかり伺いながら行うことが大事だと言われており、どういうデータが実は求められているというのを聞いて初めて分かる事がありました。

また、PM 2.5の話になるのですが、データを公開することで、シビックテック等に分析していただき、施策に活用できるということをあらためて感じたところでした。

渡邉先生から人材育成のことでお話いただき、未来の東京を作っていくという事も我々の仕事ですが、そういうデジタル人材を社会で育てていくという意味でも、検討していきたいと思います。

平本様からの話に、スモールサクセスから始めましょうと言葉がありました通り、我々もよちよち歩きですが、これから頑張っていきたいと思います。

引き続き、ご協力のほどよろしくお願いします。

どうもありがとうございました。

事務局(荻原部長):

本日は誠にありがとうございました。

これにて、第二回オープンデータ・ラウンドテーブルを終了いたします。

今回のラウンドテーブルの内容につきましては、引き続き、我々事務局としてもフォローして参ります。また、皆さまからご提案頂きました内容は、是非継続していければと考えております。大変貴重な御議論いただきまして、ありがとうございました。

3回目以降のラウンドテーブルにつきまして、引き続き皆さまから様々なご提案をいただければと思っております。

ありがとうございました。

以上