第6回
東京都オープンデータ・ラウンドテーブル
議事録

東京都オープンデータ・ラウンドテーブル 議事録

令和3年9月12日(火)10:00-12:00
第一本庁舎24階106会議室 オンライン配信
司会(吉成課長):

皆様、時間となりましたので、ただいまから「第6回東京都オープンデータ・ラウンドテーブル」を開催いたします。本日の司会進行を務めますデジタルサービス局でデータ利活用担当課長をしております吉成と申します。よろしくお願いいたします。

ではまず、「次第」をご覧ください。

本日の流れですが、まず始めに私から「オープンデータの取組状況」についてご説明させていただきます。

その後、データ公開のご要望いただいております、本日ご出席いただいた皆様からご提案をいただきます。

最後に、オープンデータ利活用促進に向けてのディスカッションを行う予定です。

なお、提案者様の資料および全体の議事については、後日オープンデータカタログサイトに掲載させていただく予定でおりますので、ご了承ください。

続きまして、「参加者名簿」をご覧ください。

本日のご提案者様をご紹介させていただきます。

 株式会社メディウィル 城間 波瑠人 様でございます。

 株式会社日本設計 保利 信哉 様でございます。

 東京大学地震研究所 加納 靖之様でございます。

事務局でございますけれども、当局の荻原サービス開発担当部長でございます。

佐塚デジタル改革担当課長でございます。

なお、池田データ利活用担当部長については、体調不良により、本日ご欠席させていただいております。

さらに、オブザーバーといたしまして、デジタル庁 デジタル社会共通機能グループ オープンデータチームプロジェクトマネージャーの東 修作様にもご出席をいただいております。

その他、都内区市町村の皆様および庁内各局の皆様にも御視聴いただいております。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。


また、本日の進め方につきまして、発表者の方はご発言の際に、事務局からご案内いたします。

オンラインでご参加の皆様につきましては、発言時にはマイクをオンにして、ご発言いただければと思います。それ以外の時は、マイクオフでお願いいたします。


では、まず始めに、私よりオープンデータの取組状況についてご説明をさせていただきます。

司会(吉成課長):

スライドをご覧ください。

まずは、東京都のオープンデータに関する取組に関する全体像でございます。

東京都と区市町村を合わせたオール東京でオープンデータ化の好循環をさらに促進するための取組となっております。

こちらの循環の図の通りなのですが、オープンデータに関するニーズの把握のために、本日開催しております民間事業者様等の方にオープンデータに関するご提案をしていただいて、行政職員とディスカッションするための場であるラウンドテーブルを開催しております。

また、今年度はこれに加えまして、オープンデータを利用される方同士または東京都とのつながりをさらに活性化させることを目的として、「東京都オープンデータ・コミュニティ」を構築したところでございます。

続きまして、把握したニーズをもとに東京都の各部署や区市町村と調整の上、積極的なデータ公開を行っておりまして、左側にあるオープンデータカタログサイトの掲載ファイル数も年々増加し、現在、約57,000件以上のデータを掲載しております。

本日は、区市町村の皆様にもオンラインでご参加いただいておりますが、引き続き、区市町村のデータ掲載にもぜひご協力いただきたいと思っております。

なお、カタログサイトにて、利活用事例や新着情報を掲載しておりますほか、APIでのデータの提供や、位置情報を付加したデータの割合を増やす取組など行っておりまして、量と質の両面での充実を図っているところでございます。

そして、これらのオープンデータを活用して新たなサービスを生み出していく取組が、左側の上部に記載しております。「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」でございます。

このように各事業をうまく循環させていくことで、オープンデータ化のさらなる促進につなげていきたいと考えております。

ここから具体的にいくつかの事業をご紹介させていただきます。


まず、「オープンデータ・ラウンドテーブル」についてでございます。

数多くある行政保有データを民間ニーズの高いものから優先してオープンデータ公開を進めていくために、民間事業者の方にオープンデータに関するご提案を直接いただくとともに、行政職員と意見交換を行う場として「東京都オープンデータ・ラウンドテーブル」を開催しております。

令和3年2月より、これまでに5回開催しておりまして、本日は第6回目の開催となります。

ここで、これまでの公開状況等ご紹介させていただきたいと思います。


まず第1回のラウンドテーブルでは、駅のエレベーターの点検情報や、観光の統計データなどのご提案をいただき、これまでPDF形式で公開していたものを、データの機械判読性の高いCSV形式に変換するなどして、オープンデータとして公開しました。

第2回のラウンドテープルでは、都が保有する駅や、バス停の緯度・経度情報等のご提案をいただき、新たにオープンデータ公開をしました。

第3回のラウンドテーブルでは、防災分野の観点から避難所情報や点群データ等のご提案をいただき、新たにオープンデータとして公開しました。

第4回のラウンドテーブルでは、緊急輸送道路情報や高潮浸水想定区域図の情報など、幅広い分野からご提案をいただき、オープンデータ公開に繋げています。

本日のラウンドテーブルでも、オープンデータに関するニーズを把握するため、様々な分野からご提案をいただく予定です。


次に、「東京都オープンデータ・コミュニティ」についてでございます。

先に述べたように、オープンデータ利用者同士のコミュニケーションや、利用者と東京都の間の繋がりを活性化させる「東京都オープンデータ・コミュニティ」を本年5月に立ち上げたところでございます。

このコミュニティはどなたでも無料で参加することができまして、既に会社員、公務員、学生さんなど、様々な分野でご活躍の多くの方にご参加いただいているところでございます。

今後さらに、オープンデータを利用しているエンジニアの方やデザイナーの方はもちろんのこと、データサイエンスを学んでいる学生やオープンデータに関心のある公務員の方など様々な属性の方にご参加いただきたいと考えています。

コミュニティでできることということで書かせていただいておりますが、コミュニティ会員同士の情報共有や、サービス開発メンバー募集、開発サービスの紹介、コミュニティ会員限定イベントの開催など、様々なコンテンツをご用意させていただいているところでございます。

活発なコミュニケーションが実現されることを期待しております。


最後に、「都知事杯オープンデータ・ハッカソン」についてでございます。

オープンデータを活用し、行政課題の解決に向けたデジタルサービスの提案を行っていただく事業で、今年度が3回目の開催になります。

応募者数も年々増加しており、今年度は昨年度の約1.5倍にあたります659名の方にご応募いただきました。

先日9月10日に「First Stage」を開催いたしまして、生活者の目線から数多くのサービス提案のプレゼンテーションをいただきました。

今後は、社会実装部門及びアイデア提案部門で全18チームが10月に開催する「Final Stage」に進出いたしまして、社会実装部門の15チームについては年度末までのサービスリリースに向けて取り組んでいただきます。都としても、こちらの15チームについては実装に向けた支援を行う予定でございます。

このように、シビックテック等との協働によって新たなサービスを創出し、都民のQOL向上につなげていくことを目指しております。


こうした様々な取組を通じ、オープンデータの公開を一層進めていきたいと思います。


取組状況の報告は以上になります。

司会(吉成課長):

では、続きまして、次第の3にうつります。

「提案者からのプレゼンテーション」でございます。

ここからは、デジタルサービス局サービス開発担当部長の荻原にファシリテートしていただきます。

荻原部長よろしくお願いいたします。

ファシリテーター(荻原部長):

ありがとうございます。

6回目にして、今日は初めて提案する方が同じ場所に会するということで楽しみにしております。

今日ファシリテーターさせていただきます、デジタルサービス局サービス開発担当部長の荻原でございます。

今日はよろしくお願いいたします。

さっそく提案者の皆様からすぐ提案いただきたいのですが、今日はデジタル庁から東さんに出ていただいておりますので、東さん、最近のデジタル庁の状況など、教えていただけますか。是非お願いいたします。

デジタル庁・東様:

はい、ありがとうございます。

デジタル庁の東と申します。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

今日はオープンデータの話を少しだけさせていただくと、私自身もともと民間出身で民間側でオープンデータに取り組んできました。そして、縁あって、現在デジタル庁でオープンデータを担当させていただいております。

最近のトピックという意味では、今年度何をやろうとしているか、ということで、まだお話できることはそんなにないのですが、大きな目標としては、今オープンデータに取組む際の指針として、オープンデータ基本指針というものがございます。

もともと基本指針に書いてあるのですが、適時内容を社会情勢等にあわせて見直すこと、と書かれておりまして、それに沿った形で、オープンデータの取組も10年ほどになり、かなり当初と環境が変わってきているということで、それに合わせた見直しをしていきたいと思っているところでございます。

それに向けては、現在の到達点、当初の基本指針が目指したところがどこまで出来ているかというのを踏まえて、今後どういった点を見直すか、検討して参りたいと思っておりますので、本日のようなラウンドテーブルで、実際データを使って利活用されている皆様がどういう形で活用されているか、どのようなところに取組むともっと活用が進むか、あるいはデータを提供する側もどうしたらデータ提供しやすいか、そういったことを検討していきたいと思いますので、今日は皆さんの発表を参考にさせていただきたいと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

ファシリテーター(荻原部長):

ありがとうございます。

今日は3者からご提案いただくことになっておりますが、提案の後に質疑を予定しておりますので、東さんにもいろいろご意見頂戴できればと思います。

宜しくお願い致します。

それでは、メディウィルの城間さんお願いできますか。

株式会社メディウィル・城間様:

今日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。

ご紹介いただきましたメディウィルの城間と申します。

よろしくお願いいたします。

今日は、我々がこの一年くらい東京都のオープンデータを活用した「発熱外来の病院検索サービス」を展開してきた事例の紹介とその経験を踏まえて、色々と感じたことを提言させていただきながら、今日の本題であります、どういったオープンデータが今後あると都民の皆様にいいのかという、そういった要望を出させていただければと思います。

初めに、弊社メディウィルの紹介を簡単に差し上げます。

2006年に創業した会社ですが、もともとは医療機関、特にクリニック向けのデジタルマーケティングという分野で病院のWEBサイトを作ってインターネットに公開して、患者さんと医療機関を繋ぐということをやってきております。

2014年に、昔は一家に一冊、赤い本の「家庭の医学」があったと思うのですが、それのオンライン版を作ろうと思って、それが「いしゃまちの家庭の医療情報」というメディアで、一時期ピークには月間二千万PV、一千万ユーザーの方々に使っていただけるような、そんなサービスを展開していました。

やはり「家庭の医学」は、その症状の段階の話なので、最終的にその患者さんがどこの病院に行けばいいのか、といったところをガイドするために「いしゃまちの病院検索」を2018年にリリースしました。

その際にKIRINのアクセラレータプログラムに採択いただいたご縁で、KIRINのグループには傘下に製薬企業である協和キリンさんがあり、特に製薬企業や医療機器メーカーの疾患啓発という分野で、なかなか知られていない疾患を幅広く疾患の理解を進める、そのことによって適切な医療機関を受診して、適切な治療を受けていただくという、活動を支援するということを特に注力しながら、デジタルマーケティングの支援をするというのが我々のビジネスになっています。

今日の事例の中でも紹介します、「いしゃまち病院検索サービス」というのが、特徴としては、疾患に応じてカスタマイズできる病院検索サービスで、かつ、Googleのように使いやすい病院検索サービスを開発してきました。

できるだけシームレスにインターネット上の患者さんを医療に繋いでいくということをお手伝いしています。

その中で、今回コロナ渦で皆様の色んなサービス開発事例を拝見しながら、我々も会社でお役に立てることは出来ないかと注視していました。

コロナが終息し始めた2022年の2月下旬に東京都の医師会から発熱外来をしている都内の医療機関のリストを公開したというニュースが出たのをきっかけに、東京都の保健医療局のHPにExcelデータとしてこれが公開され、PC版・モバイル版で医療機関マップが掲載されていましたが、実際、我々のスタッフで使ってみると、非常にいい取組だなと思った一方で、そもそも、ここにこのデータがあるということを知る機会がなかなかないなとを思いました。

HPを作っても集客できないとなかなか意味ないということを支援していたので、我々からすると、一番のポイントになるところでした。

そして非常に機能がよく出来ていて、全部網羅的に作っているので、逆に言うとシンプルさに欠けているという課題もあって、もう少し使いやすいサービスに出来るのではないか、と我々の課題意識として思いました。

そして、UIは製品サービスとの接点、UXは製品全体のユーザー体験として、我々としては使っています。

この2点をどう課題解決していくかということで、よりこのサービスレベルを上げることによって、都民の皆様のQOL、ユーザー体験を上げられるのではないかというところから、プロジェクトを始めました。

社内でディスカッションをしながら、発熱した時の患者さんがどういう行動をするかという仮説を立てました。そして、自宅の近くであったり、勤務先の近くという場所というのが大きく、自分が行ける時間というもの重要でカギになるのではないか、というのが出てきました。

ですので、ユーザーインターフェースとしては、一覧画面で詳しい診療時間を出すのではいいのではないかと考え、診療時間で絞れて、一覧表示されるのが良いんじゃないかというのが初期の我々の仮設でした。

ですが、実際の患者さんにユーザー調査してみると、発熱した瞬間はそんなに余裕がないので、絞り込みとかせず、すぐに電話したいという声が非常に大きく、我々もそこに気づいていなかったんです。

すぐに電話できるUIが大事なんだということで、機能を絞って、発熱した患者さんがすぐに電話できる動線にしようというと考えました。

そこで、発熱した患者さんのペイシェントフローをみると、最初発熱したときは、少し自宅で様子をみて、なかなか症状が改善しないときにかかりつけ医がいた場合はすぐに電話して、そこに受診するという流れがあるのですが、特に若年層などかかりつけ医がいない方はさまよってしまう。そういう方はGoogle検索をするという流れになります。検索をすると、市区町村のHPが出てきます。それをみて、相談電話に電話しますが、自宅に近い病院のサイトを案内されてしまう。発熱していて、すぐに病院に電話したいのになかなかそこに案内されない時間が結構あるということがわかってきたので、ここを出来るだけシンプルに、発熱した患者さんが検索したら病院にすぐに電話できるという動線をつくると、都民のQOLを上げられるのではないか、というのが我々の解決したい課題だったんですね。

ここをいかにシンプルに設計するかというのが、我々が取り組んだプロジェクトです。

そして、2022年7月27日に「東京都発熱外来病院検索サービス」をリリースし、開発期間は3か月くらいで出来ました。

これもオープンデータのおかげではあります。

この時にリストがしっかりデータとしてあったので、データとして使いやすく、我々の開発している病院検索のシステムが上手く重なり合って、本来であればもう少し時間が掛かるところでしたが、UI/UXの調整やデータベースへの取り込みなど、色々ありますが、比較的早くリリースまでもっていけたと思っています。

実際どういうサービスかというと、発熱した患者さんは、よく市区町村+発熱外来って検索します。例えば、足立区に住んでいる方であれば、「足立区 発熱外来」と検索します。すると、発熱外来を受けられるかどうかがわかる一覧のリストが出るページが検索上位に来ており、すぐに辿り着け、地図上から探すことができ、すぐに電話できるという動線になっています。

出来るだけ、電話できるまでの時間と体験をどうやって短くするか、というところがポイントになっています。

現在、一年あまり運営していて、のべ390万PVの閲覧数があり、のべ68万人の都民の方に利用いただき、19万コールに繋げることができました。

ある一定期間で発熱患者さんにオンラインアンケートをとったところ、6割以上の方がこのサービスを使って医療機関を見つけられたという回答になりました。

実際のアクセスを9月まで解析してみると、7月の最初リリースしたときは、ちょうど第7波がきたときで少しアクセスが増え、その後第8波が来たとき、検索にも馴染んできて大きなアクセスになりました。

最近では、皆さんの周りにもコロナの方が増えてきていると実感があると思いますが、ちょうど同じようにアクセスも少し増えてきています。

アクセスが増えてくることと、実際の患者さんが増えてくることがほぼ一致しているので、次の波が来る予測にも使えるということもポイントだと思っています。

リリース後、オープンデータ利活用事例としてもすぐに掲載いただいて、このおかげで検索エンジンに馴染みやすくなり、集客にも繋がるというサポートにもなりました。

ある意味、デジタル局の皆さんとの連携がアクセスにも繋がったと考えております。

自治体と我々民間企業が連携していくことが重要だなと感じました。

事例を踏まえて、見えてきた課題などを最後まとめますと、やはり、オープンデータは機械判読可能な形式というのが非常に重要で、フォーマットが整っているとデータとして使いやすく、今回の発熱外来のリストはきちんとしたフォーマットで公開いただいて、オープンデータとして使用できる形になっていたので、サービスがリリースしやすかったというのがあります。

そして、利活用事例で紹介いただいたことによる集客の効果は大きく、自治体との連携が重要と感じています。

さらに自治体内でサービスをつくるのは非常にいいことですが、ユーザー目線でサービス開発するために民間企業の力を借りるのが非常に重要だなと思いました。

都や区市町村の皆さんは日々お忙しく、新しいことをやるのは、なかなか大変ということは良くわかるのですが、オープンデータ化するということを業務の中に組み込んでいただくと、こういう結果に繋がり、オープンデータがあることで民間企業が気付かなかったところのイノベーションに繋がる可能性があり、今回の事例がまさにこれだと思うのですが、オープンデータが「発熱外来の病院検索サービス」のように気づいたら、非常に多くの都民のQOLを上げるというようなことに繋がるので、オープンデータが価値のあるのもので、それを業務の中に組み込んでいくことが重要だと思います。

逆にオープンデータ化されていないと、利活用事例にならないという課題もあるんですね。

例えばExcelで公開されていてもオープンデータとして公開されていないと活用事例として紹介されないという障壁もあります。なので、出来るだけオープンデータ化してデジタルサービス局のカタログサイトに載せていただけると色んな活用の幅が広がるかなと思います。

僭越ではありますが、オープンデータやデジタルサービスは、普段の自治体職員の業務では身近ではないですが、実は見えないものがインターネットサービスになることで、都民の利便性を高めるきっかけに繋がるので、是非このような事例を知っていただけると大変ありがたいです。

それから、アクセスアップの話ですが、少しでも東京都、市区町村など自治体の方々からサービスについて発信いただくことの効果がとても大きく、都民の方に使われる良いきっかけにもなるので、そういった活動を少しでもしていただけると大変有難いと思います。

UI/UXについては民間の力を借りるといいかと思います。

このプロジェクトは成功した良い事例だなと私共感じているので、こういったケースを色々と増やしていくことが大事だと思います。なかなかオープンデータってどう活用されるのかとか、活用って進まないよね、といったことは前からお話を伺っていましたが、これを是非一つの事例として、知っていただきたいと思います。

最後にお伝えしたいのが、今後の要望ということで、我々専門分野が医療機関の検索サービスであり、医療機関に関する情報を活用していくのが得意なのですが、医療機関固有の情報は自治体の皆さんが持っていて、例えば「発達障害医療機関一覧」というのが福祉局HPに掲載されていますが、まだオープンデータ化されておらず、我々としては活用に踏み込めないので、是非こういった情報をオープンデータ化いただけると有難いと感じています。

また、その他にも市区町村にも任意予防接種実施医療機関というものがあるのですが、コロナでワクチンが身近になって、VPDという考えの中で、自治体からの助成があるということがワクチン接種に重要というのがあります。

コロナのワクチンも無償で全国民に接種を促したことで一気に広がったのと似ているのですが、自治体の助成が非常に大きなポイントになっています。

ですが、その情報はなかなか知られておらず、例えば大人の予防接種でも、実は色んな予防接種があり、助成の有無もそれぞれで、市区町村によっても差があります。

そういった中で、特に帯状疱疹についてワクチンの助成をやっている市区町村があるのですが、例えば港区では、HP上で港区で帯状疱疹ワクチンの助成をしている医療機関リストを公開していていますが、PDFになっています。

こういったものをExcelやCSVで都のカタログサイトで公開いただけると非常に使いやすいと思います。

我々の開発は進めておりますが、オープンデータ化が進むとサービスリリースしやすく、現在、我々は都の全市区町村のHPを見て、手入力しながら情報を取り込んでいますが、仮に都のオープンデータカタログサイトでCSVやExcel形式で公開いただけると、物凄い速さでサービスリリースができます。

これが定期的に毎月更新されると、いち早く都民に貴重な情報を届けることができるというのが、今日のディスカッションの非常に重要なポイントになると思います。

最後に、北海道ではHP掲載情報はオープンデータとなっていたりするので、こんな事例も紹介させていただきます。

ご清聴ありがとうございました。

ファシリテーター(荻原部長):

城間さん、ありがとうございます。

スライドを19ページに戻していただいていいですか。

我々に課題が残るスライドだなと感じました。

今日、ご参加の各局や区市町村の皆さんで今の城間さんのご提案に関し、ご意見やご質問はございますか。

まずは、翻って、我々のところから、オープンデータ利活用担当課長の吉成さんに聞くのですが、課題の真ん中に書かれているオープンデータリストにあるオープンデータでないと利活用事例に紹介できないのですか。

デジタルサービス局・吉成データ利活用担当課長:

このご趣旨は、各局HPに掲載されているデータについて、だと思うのですが、おそらく、利活用事例への掲載以前に、それらのデータはオープンデータカタログサイトではなく各局HPに掲載されているだけなので、オープンデータとして公開してほしい、というご趣旨のご要望なのではないかと思います。

株式会社メディウィル・城間様:

仰る通りです。北海道は、HPに載っているものはすべてオープンデータです、と言い切ってしまっているので、そういったことが一つのやり方としてあるのではないかなと思います。

弊社のエンジニアからの切実な要望であったりします。

ファシリテーター(荻原部長):

我々にとって凄く良い課題だと思います。

確かに公開されているデータはオープンデータのはずなので、そこをきちんとアナウンスするということが非常に重要だと思います。

せっかくなので、今日ご参加いただいている加納先生からも何かご質問があれば頂戴できればと思いますがいかがでしょうか。

東京大学地震研究所・加納様:

アクセス数が感染状況と対応しているお話があったので、これをオープンデータにされたらどうかと思います。

株式会社メディウィル・城間様:

そうですね。今患者さんが何人いるか、昔に比べリアルタイムで分かってきているので、そちらのデータでも十分成り立っているかなと思っていたりします。

東京大学地震研究所・加納様:

色んなデータを見て混乱するという場合もあるでしょうが、一方で、使いこなせる人は特徴を見たりできると思う。

株式会社メディウィル・城間様:

そうですね。特定のWEBサービスの場合、トレンドを見るということでは凄く向いていますが、絶対値として合っているかというとズレが出てきます。

ファシリテーター(荻原部長):

メディウィルさんの数値をいくつかの傾向値を合わせていくと、何等か第9波、第10波が見えてくることがあるかもしれないですね。 日本設計の保利さん、ご意見はございますか。

株式会社日本設計・保利様:

私もこの後発表させていただきますが、やはり、紙媒体やPDFであることが多く、そのあたりをデータで公表いただければということをお願いしたいと思います。

株式会社メディウィル・城間様:

情報を出していただいていることはとても有難いですが、そのフォーマットが市区町村で異なっていたりすると、集約するのが大変というご指摘なのかなと思います。

そこが揃ってくると、使いやすいですよね。

ファシリテーター(荻原部長):

東さん、デジタル庁は紙媒体やPDFはもう無いと思いますが、デジタル庁はいかがですか。

デジ庁・東様:

徐々にシステム導入が進んでおり、キングファイルの置き場もないので、必要に迫られて電子化が進んでいると言えると思います。

机もフリーアドレスで、どこに座るかも決まってないので、フリーな働く環境が電子化を後押ししていると思います。

ファシリテーター(荻原部長):

ありがとうございます。城間さん、ご提案ありがとうございました。

続いて、日本設計の保利さんお願いできますか。

株式会社日本設計・保利様:

株式会社日本設計 都市計画課環境アセスメント室の保利と申します。

よろしくお願いいたします。

今日は「都市計画・環境影響評価手続きにおけるオープンデータの活用について」ということでご提案させていただきます。

本日この場に立たせていただいておりますが、最初に紹介がございました「東京都オープンデータカタログサイト」でデータをリクエストさせていただいたのがきっかけになります。

我々が業務を行う中で各種資料を調査いたしますが、まだまだ紙媒体やPDFといったものが多く、各種データを利用しやすい形で公開いただければということで発表させていただきます。

はじめに、データ公開を申請した経緯の前段として、我々㈱日本設計の紹介を簡単にさせていただき、続いて今回データ公開を申請した経緯、これまでに利用している情報、今後データ公開をお願いしたい情報、最後に今後我々がどのようにデータを活用していけるのかといったところをお話できればと思います。

日本設計ですが、1967年に、霞が関ビルの建設に携わった先輩方が設立した会社でございます。

「人を思い、自然を敬い、未来を思う」を理念として、都市・建築づくりに携わっております。

具体的にどのような建物に携わっているかというと、この西新宿という場所では、写真にございます、京王プラザホテル、新宿三井ビルディング、新宿アイランドタワーといった建物に関わらせていただいております。西新宿はもともと武蔵野の自然広がる緑豊かな丘陵地でございますが、やがて超高層のビルになっていくというところで、西新宿にかつての雑木林を再現したいという考えの基から、新宿三井ビルの足もとには「55HIROBA」と言われております、誰もがくつろげる緑の生い茂るオープンスペースを整備していこうということで、こちらが設置されております。

さらに、先に整備されておりました京王プラザホテルの北側にある緑道ともつなげることで、かつての雑木林を髣髴させる空間を誕生させました。

もう一つ、赤坂・虎ノ門地区では、赤坂インターシティAIRから虎ノ門ヒルズ森タワーにかけて「大緑道」作っていこうという構想がございます。

地域的に大緑道を作ろうとすると一事業者で行うことは無理でございまして、関連する複数の事業者様の協力が必要ということになってまいります。

その中で、我々は、赤坂インターシティAIR、虎ノ門ヒルズ森タワー、さらに虎の門病院がある虎ノ門二丁目計画などに携わっています。

「赤坂インターシティAIR」では、その敷地内に5,000㎡超の広大な緑地があります。

建物内だけでなく、屋外にも人々にとって居心地のいい場所を作っていこうということで計画されております。

先の「新宿三井ビルディング」の足もとにある「55HIROBA」にも繋がるものでございます。

「虎ノ門ヒルズ森タワー」では地下の環状2号線が地下に潜る上に建っておりますが、トンネルの勾配を利用して緑豊かなステップガーデンや広場を設け、人々が緑と触れ合いながら行き交う活気あふれる空間として計画されております。


ご紹介したような超高層建築物を建設するにあたっては、都市計画手続きや、環境アセスメントの手続きが必要となってまいります。

都市計画手続き、環境アセスメント手続きにおいては、計画地及びその周辺地域の現況を把握することが必要であり、今回、令和5年になって、令和3年度版「土地利用現況図」が都のHPで公開されました。 こちらはPDFですから、ここから手続きのための図書を作ろうとすると、10,000分の1程度の図面を作っていかなければなりません。

やはり、紙やPDFをスキャニングしての作成であると、どうしてもボヤっとした図面にしかならないということで、Shapeファイルなどで公開頂けると多くの手間をかけることなく、解像度高く、わかりやすい図面を作成できるようになると思います。

弊社以外のコンサルタントも同様の状況と考えられ、是非とも公開いただけると有難いなと思います。


一方で、これまでもすでに公開されているデータを使用しながら、図面を作っているということもございます。

こちらのように、用途地域、地盤高、現存植生図については国土交通省、国土地理院、環境省から公開されているポリゴンデータを用いて、図面を作っておりますので、先ほどの図面と違ってはっきりとしたものになっております。


そして、今後公開をお願いしたい情報ということで「土地利用現況図」のほかにも区市町村においtw、調査等が行われており、例えば港区においては、「緑の実態調査」というものを公開されております。その他にも植生図、日影規制、遺跡・埋蔵文化財の地図情報も公開されておりますが、いずれも紙媒体であったり、PDFであったりしますので、ダイレクトに使える形で公開いただけると有難いと思います。

また、区市町村で公開されるデータが統一されると良いのではという例でございますが、この例でいうと港区と千代田区のちょうど境界付近に計画地あるといった状況でございます。どちらも緑披率を示した図なのですが、区によって凡例の色が異なっており、2倍の作業量になります。さらに、片方の区でデータがない場合は、片方の区が真っ白になってしまいますので、公開されているデータも示しにくい、といったこともあり、区市町村で可能な範囲で統一されたデータ公開がされると、一層よいとのではないかと思います。


もう一つ、第4回のテーブルラウンドの文化財関連・地質データとの組み合わせというものがあったと思いますが、統合された史跡データをワンストップで検索が可能になるなどのご提案はとても興味深いものだなと思っておりまして、このような検索ができたら良いなと思っております。


最後に弊社におけるオープンデータ活用についてですが、社内でも検討が進められているところでございます。弊社はまちづくりに関連しているところで、環境関連のデータや人流データと組み合わせてまちづくりを考えていきたいと思っています。

例えば、「土地利用現況図」と気温や湿度のデータを掛け合わせて、クールスポットを明らかにし、人の動きを把握したうえで、今後のまちづくりにあたって、どこにどれくらいのものを作っていけば、人は利用しやすいのだろうか、心地よいと感じるのだろうかといったことに繋げていけないかと考えております。また、計画の中で緑を創出していくということになりますので、既存の緑との繋がりを見ながら、様々なデータを掛け合わせて、将来のまちづくりに繋げていければと考えております。


最後に、西新宿で東京都が実施しているスマートポールがございます。ここで人流や環境データなどについても取られているということで、そのようなデータも公開頂けると有難いと考えています。さらに、東京都デジタルツイン実現プロジェクトについても、我々が考えているまちづくりに直結するようなものですので、今後の整備状況を確認しながら、活用など検討していければと考えております。簡単ですが、以上とさせていただきます。

ありがとうございました。

ファシリテーター(荻原部長):

ありがとうございます。

スマートポールのローデータが欲しいということですよね。

株式会社日本設計・保利様:

どのように使えるかはわかりませんが、出していただけるととても有難いと思います。

ファシリテーター(荻原部長):

以前のラウンドテーブルで史跡データの利活用の提案があり、私がファシリテーションさせていただきました。ちょうど防災データの話があり、昔の地図情報と今の防災マップを掛け合わせると何か見えるのではないか、ということで盛り上がったのを覚えています。様々なオープンデータを掛け合わせることで、違った視点の防災マップを作れるのではないかとディスカッションの中で盛り上がりました。掛け合わせた情報もオープンデータ化して、皆で活用することが非常に重要だと思います。

オンラインで参加いただいている皆さん、各局や区市町村の方で発言はしにくいと思うので、挙手ボタンがあるので、手を挙げていただいても良いでしょうか。

ここで是非、これ聞いておきたいということがあればお願いします。

参加者の皆さんからもお話を聞こうと思いますが、何か保利さんにご質問とかございますか。

東京大学地震研究所・加納様:

手続きの図書などの書類をGISやオープンデータを活用して作られて、作った書類はどうやって出すのですか。

株式会社日本設計・保利様:

紙とPDFです。そのように出してください、となっているので、そうなっています。

社内ではデジタルなので、それを応用しています。

私が若いころは切り張りやシールを貼ったりしており、それを考えると、どんどん進化しておりますが、もっとデータが公開されるとスピードも速く、間違いもなくなるということもございますので、オープンデータ化をお願いしたいと思っています。

株式会社メディウィル(城間様):

まさにこの地図、区市町村のデータがないときは真っ白になるというお話で、本当にデータがないときはどのようにされているのですか。

株式会社日本設計・保利様:

国などで公開されている緑に関するデータなどを引用して、現況を説明するといったことをします。

株式会社メディウィル(城間様):

今回東京都の方からこのような機会をいただきましたが、市区町村の方に対してリクエストを出したいときは、どのようにしていますか。ご依頼されたことはあるのでしょうか。

株式会社日本設計・保利様:

昔は申請して大気測定データなどを提供いただいておりました。今はPDFなどがHP上で見ることができるので、その点は改善されたと思います。

ファシリテーター(荻原部長):

この後のディスカッションで、この問題を皆さんとディスカッションしていきたいと思います。利用者が地図情報を活用する際に、区境や市境などの境界面は関係ないので、境界面上では混乱に繋がるかと思います。是非ディスカッションの中でそういった話ができればと思いますが、城間さん、これまでも境界で困ったことなどございますか。

株式会社メディウィル(城間様):

いつも困っています。我々のエンジニアチームが頑張っておりまして、手作業とか、色んな工夫をするところがある意味でイノベーションなのかもしれないです。

ただ、今のお話にあったとおり、データが揃っていると、シンプルに検索ができます。

それがないと、検索ができなくて、それぞれの港区、千代田区といった縦割りの情報でしかないので、UI/UXが悪くなってしまいます。つまり、皆さんGoogleに慣れている時代ですが、なぜ簡単に検索できないのか、というジレンマに陥ることがあるということですね。

前回のラウンドテーブルでもありましたが、検索ができるということがポイントになると思います。データのフォーマットが揃っていると一発で位置情報検索やキーワードの検索ができ、ユーザー体験が凄く良くなると思います。まさに境が問題になると思います。

ファシリテーター(荻原部長):

保利さん、境界面で苦労されている点などございますか。

株式会社日本設計(保利様):

皆様、仰る通り、各区市町村のそれぞれのHPを探し回って、情報を確認しています。

株式会社メディウィル(城間様):

今日はデジタル庁の方にもご参加いただいておりますが、市区町村だけでなく実は都道府県単位でも同じ問題があると思います。

ファシリテーター(荻原部長):

東さん、良い振りが城間さんからありましたが、国としては地図情報の境界について、何かお考えの部分はありますか。

デジタル庁・東様:

そうですね、結論から申し上げるとないのですが、GISはデータ形式が多様で、なかなか標準を決めにくいというのがございます。

ただ、ガイドライン的なものがあると良いのかなと思いました。テクニカルなものではなく、データを作る際に境界を意識して繋げやすいように考慮するなどを事前に考えて、そういった内容に沿った契約や調達をするといったことを未来に向けてできれば良いと思います。

ファシリテーター(荻原部長):

保利さんから、区によって凡例が違うといったお話があったので、都だけでは決められないですが、ベースレジストリみたいなものがあると良いのかなと思います。

株式会社メディウィル(城間様):

一ついい事例があって、今、厚労省で、医療情報ネットというものがあり、情報を統合しようという動きがあり、問合せてみるともうすぐリリースできますといった話を聞くので、47都道府県バラバラだった情報がフォーマットが同じになるので、徐々にこういった動きが出てくると非常に便利になると思って注目しています。

ファシリテーター(荻原部長):

保利さん、ありがとうございました。

続きまして、東京大学地震研究所の加納さんお願いします。

東京大学地震研究所・加納様:

加納といいます。よろしくお願いいたします。東京大学で働いており、地震の研究をしております。特に歴史地震・昔の災害を研究テーマにしております。

今日のオープンデータの話に関係するところでいうと、大学の研究者同士でデータを共有することはもちろんですが、社会全体で共有するためにどうしたらいいか、を考えています。

一方で、データを作った人も評価されなければならないといったところで、そういう活動もしております。それから「みんなで翻刻」という一般の方も含めて参加していただけるプロジェクトですが、いわゆる古文書と言われる、昔の人が書いたものをインターネット上で見てもらい、それを解読して入力してもらうプロジェクトをやっています。オープンデータの言葉でいうと、クラウドソーシングというものをやっています。

歴史資料が解読されていくと、例えばそこに地震のことが書かれていると、僕ら地震の研究者が活用することができます。

最近盛り上がっているのは、この字はこう読むといったデータが我々のプロジェクトで出来ていって、さらにAIにも古文書を読んでもらい、そのデータを人間が直して、またAIに読んでもらってより情報の精度が高くなるといったいい循環が出来てきています。「みんなで翻刻」で作成されたデータを公開して自由に使ってもらうことでAIの研究にも使えるという循環がうまれているという話を自己紹介がわりにいたしました。


東京大学でも歴史地震に関するデータベースを作っていて、そのデータをどう使っていただくか、というところもオープンデータの考えが必要なところで色々考えているところです。


それから、チャットに貼ったのは、先週「東京都オープンデータ・コミュニティ」の会員限定イベントに出させていただいた際に自己紹介がてら作ったもので、私がやってきたデータベースなどのリンク集なので、また後で見ていただければと思います。


これは最近リリースした「edomi災害」というもので、人文学オープンデータ利用センターの北本さんとやっているプロジェクトです。昔の災害について書かれた絵図から地名情報を抜き出して、それを地図上に落とすプロジェクトで、左下のマップが出来たりします。資料の中から切り抜いてスクラップブックを作るようにしてデータを作っています。まだ都のオープンデータは入っていないのですが、この中に文化財や観光のデータ、ハザードマップのオープンデータなどが組み合わされていくと面白いコンテンツが出来るのではないかと思っています。実は、都立図書館が東京アーカイブというデータを出していて、そこから画像データをいただき、我々のedomiに組み込んでいます。ライセンスがパブリックドメインとなっていて、要はオープンデータで自由に使っていいというライセンスなので、自由に使えて嬉しいという例です。

ただ、先ほどの話でいうとオープンデータカタログサイトには載っていないので、オープンデータとはなにかという定義の整理が必要かなと思います。

都立図書館のアーカイブなどは、ずっと前からオープンにされているので、そういったものをどう統合していくかということが大事かなと思います。


次の地震については、被害想定というものが作られ、基本的にはPDFとか紙の報告書なのですが、地図を作るためのデータが、公開されています。例えば、国の方の事例ですが、一部公開されていて、G空間情報センターで南海トラフの被害想定が公開されていますので、それを基に可視化を行うことができます。右側の図は、地震が発生したときにテレビに出るような地域分けごとに最大震度を地図に出したものです。

また、東京都では昨年度に令和4年に新しい被害想定が発表され、報告書が出ておりますが、これがオープンデータにならないかなと思って相談したら、オープンデータにできるということでした。

その後、カタログサイトでも避難所のマップが公開され、これがあったら結構いいなと思ったり、都の方じゃなくでもアーバンデータチャレンジというもので内閣府のデータに基づいて同じようなWEBマップ、アプリを作られてたりして、出来つつあるなと思っているところです。


やはり元データが公開されてほしいと思っています。そうすると違った切り口のアプリが作れたり、他の物との組み合わせを考えていくことが出来ると思います。可視化をしたり、地域でつくるハザードマップとかにも活用できると思います。自分で紙を切り張りして作ったほうが楽しい場合もあるし、デジタル得意な方はパソコンで作ったほうが楽しい場合もあるし、やり方は色々あると思います。ただ基本となるデータはデジタルになっているのが望ましいと思います。研究者としては、50Mメッシュのデータが使えるようになると非常にいいのではと思います。全国均一では250Mメッシュのデータがありますが、50Mで細かいことが分かると非常によいと思います。境界の話で、おそらく、区市町村で配られるハザードマップは隣の区の色は塗られていないものがあると思います。隣の区に勤めている人がいたり、隣の区の避難所の方が近いといった場合もあると思うので、そのあたりがどう整備されるのかというのが大事など思います。


あと、学生にオープンデータを活用するという授業をやると、人流データなどリアルタイムデータに凄く関心を持つんですね。ただ、なかなかすぐに使えるデータがなく、もちろん商用のデータであるということもあるのですが、利用できるデータがあるといいなと思ったりしています。

それから事例の紹介のところで、利活用事例がもう少し充実すると良いと思います。

先ほど紹介のあった発熱外来の事例は利活用事例のサイトをみると結構素っ気ないんですよね。スクリーンショットとタイトルとURLくらいなので、利用する方はどうやって作ったかとか、工夫した点とか苦労した点など書かれていると自分もやってみようと思うのではないかなと思います。ただ、それをちゃんとやろうとすると、ライティングの技術とかも必要になるので、大変だろうとは思います。自治体のどのオープンデータがどれくらい活用されているかといった情報が集まるようになると公開する側も元気が出来るのではないかと思います。

マハロボタンなども使えるかもしれません。

GISデータが注目されており、オープンデータとの親和性も高いですが、テキストデータなども使い道があるのではないかと思います。地図に書くだけがオープンデータではないですね。さらに「科学と自然の散歩みち」というデータがあって、このデータはルートしかなく、行った先で見るべきポイントがあると思うのですが、そのデータは載っておらず、地点の解説もあるといいなと思って気づきがあるデータだなと思いました。

最後は、歴史資料の話で、区史等ですでにPDF等でオープンになっているもので、オープンデータカタログサイトには入っていないものがあるので、そのあたりがうまく整理されて統合されると便利になっていいなと思っているところです。

以上です。

ファシリテーター(荻原部長):

加納先生、ありがとうございます。

我々は、各局や区市町村から出していただいたものをオープンデータとしていますが、HPに掲載されているものはオープンデータではないのか、といったところで、我々にとって凄くいい気づきを得られたと思います。オープンデータの定義が必要かもしれないですね。

今のお話を聞いて、城間さん、いかがでしょうか。

株式会社メディウィル(城間様):

先生のお話で学生さんにいいんじゃないか、というところが印象に残っていて、特に学生目線でのフィードバックを得ることが実はオープンデータにとって有益なのではないかなと思っていました。私もボランティアでヘルスケアイノベーションというゼミをやっていて、その時に社会課題を把握しながら、データでどう解決するかといったときに、一番身近で活用しやすいのがオープンデータになりそうだなと思いました。

かつ学生視点での困っていることは、我々も把握できないことがあるので、例えば東京都のオープンデータカタログサイトを使って自分たちが抱える課題を解決してみるといったことが一つのプロジェクトとして成り立ちそうだなと感じました。

あと、活用事例のところで仰るとおりで、大変ありがたい機会なのですが、もう少し書きたかったなと思いました。ただこれが次につながると嬉しいなと思います。

デジタルサービス局(佐塚課長):

デジタルサービス局の佐塚です。

皆さんの発表を聞いて、ポイントは、「的確にニーズのリクエストをもらい、東京都や区市町村が連携して対応を検討するということ」と、「オープンデータの活用事例・サービスを広く知ってもらい、オープンデータ活用への関心を広げていくこと」だと思いました。

事前に発表資料を拝見しまして、勉強になったと思ったところが「マハロボタン」のところなので、少しご説明いただけますでしょうか。

東京大学地震研究所(加納様):

「いいねボタン」のようなものですね。

データを登録した人にも「いいね」されたことが分かり、だれが使ったかが分かるものです。

デジタルサービス局(佐塚課長):

それに加えて、「いいねボタン」を押した人が「利用手法、活用ルール、活用結果」を投稿できて「貢献度」も表示されるということですよね。

東京大学地震研究所(加納様):

それが簡単にできるというものです。

デジタルサービス局(佐塚課長):

アイデアベースではありますが、貢献度が高い方が作成したオープンデータ活用事例について、ショートな紹介動画を東京都が作成する。この紹介動画を掲載する「まとめページ」を作成し、インターネット上で常時公開する。動画は使い勝手がいいので、都のイベントや都が出展する展示会などで流し、色々な方に見ていただくことで、貢献度の高い方を後押しする。マハロボタンの「貢献度」という考え方は、色々と発展性があると思います。

東京大学地震研究所(加納様):

今はアクセス数を計ることが指標ですが、アクセスされたからって使われるとは限らないので、利用事例を集めるという観点ではこういう仕組みがあり得るのかなという参考です。

株式会社メディウィル(城間様):

加納先生の研究において、ご自身で集めるデータとオープンデータでは切り分けがあると思いますが、どこまでをオープンデータに期待してどこの部分をご自身のデータで補うといったことを考えていますか。

東京大学地震研究所(加納様):

世の中にないデータであれば、自分でつくる・取りに行く必要がありますが、ありそうなデータであれば、そのデータを持っている人に問合せるだろうと思います。とはいえ、自分で作ったデータではないので、本当に自分の知りたいこと内容であるかは見てみないと分からないと思います。足りない場合は自分で調査したり自治体と協力して調査したりします。

株式会社メディウィル(城間様):

我々の世界でも同じものを作らないようにするということに時間を使うので、データがあるのであれば、そこに付加情報を追加したいと思います。 そういった意味で、自治体や国が持っている基本情報が重要だと思っています。

ファシリテーター(荻原部長):

加納先生ありがとうございました。

ここから10分くらいディスカッションの時間に入りたいと思います。

今日は区市町村の皆様にご参加いただいているので、我々から区市町村にお願いということはしにくいのですが、みんなで一緒に境界面や地図情報の課題についてお話できればと思います。保利さんから改めて境界面の課題や、区市町村に対して、こういう地図情報だと有難いということがあれば共有していただけますか。

株式会社日本設計(保利様):

先生からもありました避難所に関しても、自分が境界にいた場合に一か所でわかると手間がないですし、都民の方にとってもよいと思います。また、町丁界のデータがずれていたり、住所が地図表示と場所とで違っていたりする場合もあるので、緯度経度をキチンと整備いただけると使いやすく効率的に活用できると思います。繰り返しになりますが、データはExcelやCSVであるといいと思います。あとは自治体によって情報が異なるので統一してほしいといったことの要望があったり、東京都総合設計制度許可実績一覧表のポリゴンデータや建物東都別土地利用面積の町丁目データなどもあるといいかと思います。まちづくりに偏った希望ではありますが、これら希望がございます。

ファシリテーター(荻原部長):

城間さん、総じて、自治体で公開される情報が統一されていないことが課題ですかね。

株式会社メディウィル(城間様):

これは、我々が発熱外来で提供しているものですが、エリアで検索したときにこれはエリアを跨いて検索できていますが、これは一覧でキチンとデータが揃っていたからなんです。

今のユーザーは便利なことに慣れており、UI/UXのお話もありましたが、ユーザーレベルが上がっているので自治体サービスの使いにくさが目立ってしまうというのが一つの課題です。あとは民間サイドの課題としては、ビジネスモデルがしっかりないので民間が参入しにくいというのがあると思います。非常に重要なデータがたくさんある一方でそこも揃ってくると民間企業が参入するだろうなと思います。

ファシリテーター(荻原部長):

加納先生はいかがでしょうか。

東京大学地震研究所(加納様):

各区市町村でどこがどう違うのかを調べるのも研究になるのではと思うのですが、違うのは様々な理由があって、紙の時代から違うというのもあるし、それぞれの区市町村特有の情報というものあると思いますが、最低限ここは書きましょうといったことは決められると良いかと思います。あとは、デジタルデータになっていた情報変換のルールが分かっていればそれができるので、どういう背景でこのデータができているか明示されるといいかと思います。整ったデータでなければ公開できないかというとそうではなくて、それを使う人が工夫するのも大事だと思います。

コミュニティイベントでも、データのクリーニング等、使えるデータにするということに、はまっている人もいるので、そのノウハウを公開するというもの活用に繋がると思います。まずあるものでやっているということも良いのかなと思いました。

株式会社メディウィル(城間様):

理想的な話と現実的な話は分けて考えたほうがよくて、きれいなデータで出すことは大事なのですが、データを公開いただくことに価値があるので、せめてExcelにして公開いただきたいと思います。HPで公開したものを都のオープンデータカタログサイトに掲載いただくだけでかなり助かるということを知ってもらいたいです。

ファシリテーター(荻原部長):

データを「きちんと」出さなければいけないという意識があって、これまでは人間が判読できるのがきちんとだと思っていて、最近、機械判読性が高いことが「きちんと」だと思ってラウンドテーブルを開催しています。

今日の提言から分かることは、人間が読めるキレイなデータをつくることは重要ですが、今後は機会判読性の高いものの公開やHPで掲載しているものはカタログサイトで公開するといったことをみんなで考えるフェーズになってきたのかなと思います。

そろそろ時間になってきたので、最後はデジ庁の東さんに締めていただきたいと思います。

デジタル庁・東様:

土地利用図の話がございましたが、DXの流れでいうと、図面は電子で納品できないのかとか、調達や契約の際に、権利書類を明確にして知財・著作権を整理し、成果物の図面を生成できるものを納品することなどして未来に向けて整備すると業務負担を増やすことなく取り組んでいけると思いました。

ファシリテーター(荻原部長):

東さん、ありがとうございます。

ディスカッションは終わりにしたいと思います。

司会(吉成課長):

本日はありがとうございました。

皆様、本日はありがとうございました。

本日のラウンドテーブルの内容につきましては、引き続き事務局としてもフォローしていきたいと思っております。

また、次回ラウンドテーブルは来年2月を予定しております。

事業者様とのヒアリングを通じ、オープンデータ化のご要望があったデータを保有するデータ所管局様には、次回ラウンドテーブルでの取り上げ及び該当データの公開をご相談させていただく予定ですので、その際はご協力いただけますと幸いです。

それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。大変貴重な御議論をいただき、ありがとうございました。